店に入った途端、普段と違った雰囲気が見てとれた。レジ前に制服姿の女子
高生たちが列を作って並んでいるのである。ざっと50人はいたであろう。20畳弱の
店内には、その50人だけではなく、私のような男性客だって同じくらいごった返して
いたのだから、店内は100人近い客で埋められていたことになる。そうなるとスーツ
姿の私はますます具合が悪い。店内の温度が異様な高まりを見せるのだ。私は
全裸になりたいくらいだったが、公共の場なので、やめた。
さて、1年ぶりに訪れたものの、店で扱うグッズのレパートリーに大きな変化は見ら
れなかった。ブロマイドにポスターという2本柱を筆頭に、うちわやコンサートグッズと
いった期間限定物からステッカーやミニカードのような定番物まで全く変わらない。
それに、何より安心したのは、カンカンカンというバッジを作る音が相変わらず鳴り
響いていたこと。アイドル写真を機械でラミネート加工する「ウィィィーン」という音も
健在。これらのデフォルトスペースは、訪れる客人を大いに和ませてくれる(はず)。
アイドルショップが心地良いのは、そこにアイドルグッズが置いてあるから、というだけ
ではない。ここはいわばアイドル市場の縮図である。並べられるブロマイドの数は、
市井(しせい)のアイドル人気を如実に反映しているし、グッズは店舗内で制作し
ているものがほとんどなので、極端な生産過剰が起こることは無い。直営店の強
みである。イタリアライフスタイルの最先端を行く都市がミラノであるならば、アイドル
市場を占う末端組織は他でもなくアイドルショップなのである。
さて、それではこの数年のうちにアイドルショップ内におけるアイドルの勢力分布は
どのように変化したのだろうか。私が気づいた点をいくつか挙げておこう。